「最大速度1Gbps」とうたわれるフレッツ光。しかし実際に使うと、「1Gbps出てないよね!?」ということはよくあります。
特に、利用者が集中する時間帯やエリアは、回線の混雑で速度が低下し、スムーズにインターネットできないことも…。しかし、そんなときも、周辺機器を整えたり、通信方式を変更したりすることで、回線速度のアップが見込めます。
ここでは、フレッツ光の実際の平均速度、および速度改善方法を解説します。
フレッツ光の「最大速度」は1Gbps
フレッツ光の最大通信速度は1Gbpsです。
Gbpsとは「1秒間で通信できる情報量(単位はギガビット)」を指し、1Gbps=1,000Mbpsです。数字が大きいほど1度にたくさんのデータをやりとりできます。
ただ、この「最大速度1Gbps」は理論値であり、実際にこの数値が出ることはまずありません。
それは、光回線が、「最大限の努力はするが、保証はしない」ベストエフォート型のサービスだからです。
「ベストエフォート型」の実際の回線速度は、回線の混雑状況や、有線接続か無線LAN(Wi-Fi)か、利用するプロバイダ等で大きく変わるため、「この回線を利用すれば、必ずこの速度が出る」といったことは言えません。
インターネット利用に必要な速度は「1Mbps」
では、実際の回線速度はどのくらいあれば、快適なインターネット利用ができるのでしょうか?
快適な回線速度について、BIGLOBE のホームページでは次のように解説されています。
●1Mbps~10Mbps以上…テキスト中心・容量の小さい画像のページの閲覧
●10Mbps~30Mbps以上…ネット動画の閲覧・ショッピングサイトなどのホームページの閲覧
●30Mbps~60Mbps以上…高画質動画の視聴・オンラインゲーム
このように、インターネットの使用目的によって、実際に出た方が良い速度も変わってきます。
フレッツ光の平均速度は?
さて、フレッツ光でどのくらいの速度が出るのか気になるところですよね。
これから、スピード測定サイトの出している回線速度と、口コミ状況からフレッツ光の実際の速度を推測してみます。
スピード測定サイトの集計結果では、60Mbps程度
回線スピード測定サイト「RBB SPEED TEST」では、2015年から毎年、ユーザーの実際の測定結果を集計した回線速度ランキングを発表しています。
RBB SPEED AWARD 2019
RBB SPEED AWARD 2018
フレッツ光でランクインしている「ギガスマート」や「ハイスピードタイプ隼」は、それぞれNTT東日本、西日本の最大速度1Gbpsのプランです。
数千件の測定結果から推察すると、フレッツ光は1Gbpsの回線で、60~100Mbps程度の速度を出していることが多いようです。
これだけの速度があれば、インターネットを快適に利用することができるでしょう。
フレッツ光が遅いときのチェックポイント・速度改善方法
では、フレッツ光が遅いときのチェックポイント、改善方法を見ていきましょう。
マンションは、配線方式によって速度の落ちやすさが異なる
フレッツ光のマンションタイプの場合、配線方式によって、速度の落ちやすさが変わります。
配線方式 | 光配線方式 | LAN配線方式 | |
---|---|---|---|
電柱~共有設備 | 光ファイバー | ||
共有設備~各部屋 | 光ファイバー | LANケーブル | |
速度低下 | 最も速度低下しにくい | 光配線方式の次に速度低下しにくい | |
該当プラン | 全プラン | マンションタイプ(100Mbps)のみ |
VDSL 配線の場合、他の入居者の回線使用や共有設備からの距離により、速度が落ちやすくなります。混雑による速度低下を改善するには、「フレッツ・v6オプション」がおすすめです(※後述)。
自分の部屋がVDSL配線かどうかは、壁のモジュラージャック(電話線の穴)から線が引かれているかどうかで判断できます。
LANケーブルや端末等、周辺機器の規格を確認
古いLANケーブルやパソコンを使っている場合、LANポートやケーブルの規格が最近の高速通信に合っていなくて、思ったような速度が出ないことがあります。
LANケーブルを選ぶときは、ケーブル表面やパッケージに記載している「カテゴリ(CAT)」の数字をチェックしましょう。「CAT5e」以上の場合、最大速度1Gbpsの高速通信に対応しています。
パソコンの場合は、ネットワーク設定から対応速度を調べることができます。
Windows10の場合は、「設定」から「ネットワークとインターネット」→「ネットワーク接続」→「イーサネット」と選び、速度の欄をチェックしてください。
上の場合は、速度1Gbpsに対応していることがわかります。
無線LAN(Wi-Fi)の規格を確認
無線LAN(Wi-Fi)が遅い場合、ルーターやホームゲートウェイの設定を見直すことで、通信速度が改善されることがあります。
現在の無線LAN(Wi-Fi)ルーターは、「IEEE 802.11ac」を最速とする5種類の規格のいずれか(もしくは全部)に対応していて、それぞれ出せる速度が異なるのです。
規格 | 最大速度(理論値) | 周波数帯 |
---|---|---|
IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz |
IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz |
周波数帯とは、使用している電波の帯域です。2.4GHzは電子レンジ等の生活家電でも利用される帯域のため、近隣からの電波干渉を受けやすくなっています。これに比べ、5GHzはやや障害物に弱いですが、干渉が少ないのでスムーズに接続しやすいといわれています。 もし新しくルーターを買うなら、最新の「11ac」に対応したものを買うと良いでしょう。
11ac(5GHz)に対応したルーターは2.4GHzにも対応しているので、接続できなくて困るということはありません。
無線LAN規格の設定は、ルーターのセットアップ画面からできます。Wi-Fi設定から、各規格(もしくは対応する周波数帯)を有効にすればOKです(階数や壁の有無等、家の中で繋がりやすさが違うことがあるため、すべての帯域を有効にすることをおすすめします)。
主なルーターのメーカー別の設定画面アドレスは、以下の通りです。これをWebブラウザのアドレスバーに入力して接続、ユーザー名とパスワードでログインしてください。
ルーター | セットアップアドレス | ユーザー名/パスワード |
---|---|---|
NTTのホームゲートウェイ | 192.168.1.1 | user/初回ログイン時に設定 |
BAFFALO | 192.168.11.1 | admin/password、または root/(空白) |
NEC | 192.168.0.1 | admin/初回ログイン時に設定 |
IO-DATA | 192.168.0.1、または 192.168.1.1 | 初期状態では設定なし |
TP-Link | 192.168.0.1 | admin/admin |
各規格を切り替えるときは、端末側で2.4GHz帯と5GHz帯それぞれのアクセスポイントを検索して接続しましょう。アクセスポイント(SSID)やセキュリティキー(暗号化キー)は、ルーター側面のシールや接続ガイドで確認できます。
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「フレッツ・v6オプション」で通信速度を上げる方法
夜や週末など、利用者の多い時間帯に速度が落ちる場合、無料のオプションサービス「フレッツ・v6オプション」で速度が改善する可能性があります。
v6オプションとは、従来の通信方式(IPv4)に代わる次世代の通信方式「IPv6」を使えるようにするものです。
これと、IPv6対応プロバイダの「v6プラス」「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4」といったサービスを組み合わせることにより、回線の混雑を回避し、高速通信が可能になります。
IPv6高速通信に対応している主なフレッツ光のプロバイダは以下の通りです。
プロバイダ | IPv6高速通信サービス | 初期費用・月額料金 |
---|---|---|
@nifty | v6プラス | 無料 |
So-net | v6プラス | 無料 |
GMOとくとくBB | v6プラス | 月額991円(プロバイダ料含む) |
AsahiNet | IPv6接続機能 | 無料 |
au one net | IPv6接続サービス | 無料 |
Yahoo!BB | IPv6高速ハイブリッド | 無料 |
BIGLOBE | IPv6オプション | ひかり電話もしくは月額500円の専用ルーターが必要 |
「v6プラス」等の申し込みは各プロバイダから、「フレッツ・v6オプション」は、電話かフレッツ光の会員サイトから申し込みましょう。
・フレッツ光窓口(東西共通):0120-116116(9:00~17:00、年末年始除く) 申し込んだ後は、利用しているルーターのセットアップ画面で「IPv6パススルー設定」を有効にすればOKです(※ルーターがIPv6に対応していることが必要です)。
何をやっても通信速度が上がらないときは、乗り換えも検討
これまで紹介してきたような方法を試してみても通信速度が上がらないときは、フレッツ光以外の回線も検討することをおすすめします。
フレッツ光や光コラボ(※)の利用者は増える一方なので、混雑によってどうしても回線速度が落ちがちなのです。
※光コラボ…ドコモ光やソフトバンク光等、フレッツ光の回線を利用したインターネットサービス
フレッツ光以外の光回線には、auひかり(全国)やNURO光(関東・東海・関西)、コミュファ光(東海)やeo光(関西)などがあります。
これらはフレッツ光に比べてシェアは低く、エリアも限られていますが、その分、回線に余裕があり、速度も好評なことが多いです。
auひかりについての記事はコチラ。
NURO光についての記事はコチラ。
コミュファ光についての記事はコチラ。
まとめ
フレッツ光は、最大速度1Gbpsのプランで60Mbps程度の速度が出ることが多いようです。
これは、インターネットを利用するのに問題ない速度です。
ただ、夜や週末など利用者の多い時間帯、マンションの配線方式によっては、混雑で回線速度が大幅に低下することがあります。
これを防ぐには、無料のIPv6接続サービスを利用するのがおすすめです。対応プロバイダとの契約とIPv6対応ルーターがあれば、混雑を回避して高速通信ができます。