NTTは2015年に「光コラボレーション(以下、光コラボ)」を開始しました。
光コラボ開始以前、光回線といえばフレッツ光(NTT)とauひかり(KDDI)のみでした。しかし、光コラボの開始以後は多くの事業社が光回線運営に参入し、現在では光回線契約の選択肢が非常に豊富です。
ここで注意したいのは、光コラボの回線自体は全てフレッツ光回線の流用であり、回線を共有している状態です。このため、現在、フレッツ光回線は利用ユーザーが急増し、混雑する傾向にあります。
回線の利用者が多いと必然的にプロバイダサーバーも混雑します。そのため、各プロバイダは利用ユーザーの規模に応じて適宜サーバーの増設を実施することが求められます。
ここでは、回線の混雑を緩和するための重要なポイントとなるプロバイダサーバーの増設について解説します。
プロバイダの「サーバー」が混雑すると通信速度が下がる
まず、インターネット回線が混雑する仕組みを理解するためには「回線」と「プロバイダ」の違いを知る必要があります。
フレッツ光とは「回線」であり、インターネット利用するためには回線契約とは別途でプロバイダ業者と「プロバイダ契約」をする必要があります。
プロバイダ業者はOCN、So-net、BIGLOBE、@nifty、などが有名ですね。
回線とプロバイダの仕組み
フレッツ光とはインターネットの「回線」であり、道路のようなものです。
インターネット回線という道路を利用するには「IPアドレス」という個人を識別する身分証のようなものが必要です。
このIPアドレスを発行するのがプロバイダの役割です。
このためインターネットを利用するためには「回線」と「プロバイダ」の契約が必要です!
NTTの基地局に設置されているプロバイダのサーバー
プロバイダ業者は各地に設置されているNTTの基地局内に自社のサーバーを設置しています。インターネットを利用するユーザーはプロバイダのサーバーを経由してインターネットにアクセスする仕組みになっています。
ユーザーはインターネットにアクセスするとき、契約しているプロバイダのサーバーを経由するので、その過程でIPアドレスが発行される、という仕組みです。
例えば、フレッツ光と回線契約し、プロバイダは「OCN」と契約したとします。
自宅のパソコンからインターネット利用する場合は、必ず自宅から最寄りのNTT基地局内にあるOCNのサーバーを経由して、インターネット上にアクセスします。
以上のように、光回線網の基地局内にはプロバイダのサーバーが設置されており、契約ユーザーは必ず契約しているプロバイダサーバーを経由し、インターネットにアクセスします。
これが回線とプロバイダの仕組みです。
プロバイダ別に行う「増設工事」
インターネットが混雑で通信速度が遅くなるのは、回線が原因の場合とプロバイダサーバーが原因の場合があります。
回線が原因での遅延は以前より減っています
回線とは道路のようなものなので、利用者が多いと渋滞のような状態になってしまいます。
しかし、道路の利用者が多いとしても、流れが順調であれば渋滞が起こることはあまりありません。その点は一昔前のADSL回線(アナログ回線)に比べ、現在の光回線は回線品質が向上し、高速道路のようなものなので、回線が原因で遅延するケースは減っているはずです。
ただし、上記で解説した光コラボの開始で、フレッツ光回線はauひかり回線と比べると混雑する傾向にあります。
プロバイダサーバーが原因で発生する混雑
上記で回線を「道路」に例えましたが、それに対してプロバイダサーバーは道路に設置された検問所のような存在です。
プロバイダサーバーの容量が利用ユーザー数に対して小規模な状態では、検問所の通過に手間取ってしまい、道路の質は良くても結局渋滞が発生してしまいます。これがプロバイダサーバーの混雑による遅延です。
サーバーの増設はプロバイダ別に行われます
インターネット利用者は現在も少しずつ増えている状態なので、プロバイダサーバーはユーザー数の増加に合わせ、劇的に混雑しないように適宜、サーバーの増設が求められます。これがいわゆるプロバイダサーバーの混雑問題です。
本記事で解説したようにプロバイダサーバーは各地にあるNTTの基地局内に設置されています。つまりマンション(基地局)に各プロバイダが賃貸しているようなイメージです。
設置されているプロバイダサーバーが混雑しないように適宜サーバーの増設をするのは各プロバイダが任意に行います。
混雑に合わせ、適宜増設しているプロバイダ業者もあれば、増設に横着なプロバイダ業者もあると考えるべきです。
プロバイダ契約の利用料金がプロバイダ業者によって異なるのはこういった事情もあり、同じフレッツ光の回線契約でも選ぶプロバイダによって回線が安定したり、やたらと混雑したりする、ということです。
以上のことから、プロバイダ業者は“一概に料金が安いところが良いとは言えない”かもしれません。
プロバイダ別の増設情報の確認方法
プロバイダサーバーの増設は各プロバイダが独自に行います。
プロバイダサーバーはNTTの基地局に存在し、基地局は日本全国に無数に存在します。
利用するユーザーにとっては最寄りの基地局のサーバーが増設されなければ自身にはあまり関係のない話です。
プロバイダサーバーの増設情報は多くの場合、そのプロバイダの公式HPで告知されています。
現実問題として基地局は一つの県内でも数十に及ぶ数があり、その一つ一つの増設情報を詳細に告知しているプロバイダは皆無です。
多くのプロバイダは都道府県別に増設予定日を掲載しています。基本的に混雑が顕著になっている地域から優先して増設していると考えていいでしょう。
例えば、プロバイダの公式サイトで、次のように増設情報は掲載されています。
プロバイダの増設情報
OCN:https://support.ntt.com/ocn/information/detail/pid25000002e8
So-net:https://www.so-net.ne.jp/info/2016/sp20160310_0007.html
ぷらら:https://www.plala.or.jp/support/hikari_info/
hi-ho:http://hi-ho.jp/course/hikari/flets_detail/
どのプロバイダも自社HPで増設情報を掲載していますが、どれも都道府県別に大まかに掲載している程度なのでこれらの情報からどのプロバイダが快適に利用出来るのかを推察するのは難しいでしょう。
結局プロバイダサーバーの増設情報は一般にユーザーが知るには限界があり、どのプロバイダが快適に使えるのかどうかはインターネット上にある口コミ情報に頼る、つまり実際に利用しているユーザー同士で情報共有するくらいしかありません。
フレッツ光は選ぶプロバイダによってプロバイダ料金が異なるのですが、“利用料金が高額なプロバイダは増設工事もマメに行っている”と考えることもできるかもしれません。
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自分で出来る通信速度の改善方法
ここまで、インターネットの通信速度は、回線の問題よりもプロバイダサーバーの混雑状況が大きく影響することを解説してきました。しかし、もっと根本的な問題として、自宅内に設置しているモデムやルーターが原因で通信速度が遅くなってしまうこともあります。
なお、以下のサイトでフレッツ光の通信速度が遅い場合の原因や対策を、紹介しています。
ぜひ、参考にしてくださいね。
フレッツ光の通信速度が遅い? その原因をさまざまに解説、対策についても紹介
まとめ
光回線の速度が遅くなってしまう原因は主に回線の混雑とプロバイダサーバーの混雑の2種類が考えられます。
一昔前のアナログ回線の頃と比べると現在の光回線は劇的に回線品質が向上しているため、回線の混雑が原因となるケースは減ってきています。このため、昨今の通信速度が低下する主な原因はプロバイダサーバーの混雑がほとんどと考えてOKです。
フレッツ光の場合、プロバイダサーバーは各地にあるNTTの基地局内に設置されており、インターネットを利用するユーザーは必ず契約しているプロバイダのサーバーを経由してインターネットにアクセスする仕組みです。そのためプロバイダサーバーが混雑するとどんなに回線品質は良くても、通信速度は低下します。
プロバイダサーバーの混雑を防ぐにはサーバーを増設するしかありません。サーバーの増設は各プロバイダが独自に行うため、同じフレッツ光でも選ぶプロバイダによって通信速度には差が出る、ということです。
プロバイダサーバーの増設はプロバイダ業者にとっては主要な設備投資です。そのため、利用料金が安いプロバイダが一概に良いプロバイダとは言えません。
現在利用しているインターネット契約で“通信速度の遅さが目立つ”という場合は、プロバイダの変更を検討してみるのも一案です。